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ゆるく、ゆるーくありたいものです

求職 風待ち

  • 2005年06月30日
面接を受けに行く。
 その会社は新宿の南口から徒歩10分、煉瓦作りのマンションの中にあった。やたら煤けた建物で、怪しげな教材販売や英会話教室が軒を連ねている。何よりヤクザが多い。嫌な予感がした。事務所はやたら狭く小ぎたなかった。乾いたOLが電話を書けている。乾いた中年に座って待つように言われ待っていると、乾きかけの社長が出てきた。話を聞くと、不動産の契約をとる営業のバイトらしい。それも、隙間産業だ。
僕はこの仕事を愛せないだろう。愛せないものを見知らぬ人に買わせることなんかできないよ。
せめて胸を張って「無理です。」とだけ伝えると、乾きかけの社長はにっこり笑った。

 夕方、多摩美出身の劇団方眼紙のお手伝いへ。久々に芝居を見る。気分としては、脂っこい物語は見たくなかったのでギャラリー芝居はちょうど良かった。


劇団方眼紙企画「恋踏み『ルワンダ』」観劇

さっぱり見れた。構成が丁寧で話も面白かった。今まで会ってきた美大生・美専門学生の多くに感じる「芸術してるんですー」感、「青山のカヘよくいくんですー」感、「オレンジペコー」感がどうにも嫌いで、やはりこの芝居もそれを感じたが、でもよかった。

美大、どんなところなのかしら。入ってみたくある。
 
 夜、久々に、増田君と持田とあるじに会う。
 まめチャンネルはまめチャンネルで大変そうだ。
 「まあ、俺ほど人生を謳歌している人間もそうそういないよ。」
 主宰はそう言って、夜の多摩川に入水した。
 あるじ宅に泊まる。
 業田良家「自虐の歌」と新井英樹「宮本から君へ」を読んでテンションがあがる。人生について考察しながら眠る。

 
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まあ色々だ

  • 2005年06月29日
朝起きて、近くのファミレスに入って履歴書を書きまくる。
今日は履歴書の束を片手に散歩した。
先ずタワレコで、怠っていた音楽のチェックをする。

・SINGERSONGERは期待していたよりも普通だった。
くるりとCOCCOという異色の組み合わせからどう出るか謎
だったけれど、思ったよりも健康な感じで少々の落胆を覚える。
僕は彼らのどことなく不健康な面が好きらしい。メンバーの中
に「喜太郎」の名前を発見して笑う。このおっさんが健在だと
いうことがうれしい。
・椿屋四重奏はエロいバンドだった。なんか、スケコマシなギタ
ーだというのが新曲への正直な感想だ。
・残響レコードはなかなか格好良かった。ギターとドラムのみで
勝負する姿勢がなにより熱い。ボーカルは要らない。ポストロ
ックってのがどういうものなのかはよくわからない。ただ、ギ
ターとドラムだけでテンションはあがる。
・クジャムボンはジャムをするクラムボン。原田にはやっぱり高
々と歌ってほしい。
・drowing4-5はコラージュロックというスタイルらしい。音楽へ
の冒涜と罵られているバンドだけど、楽しい。おたくっぽさが
面白かった。
・小泉京亮は洗練されたエレクトロニカ。聴いていて気持ちいい。
毒気の無さが物足りなかったけれど洗練されてはいるんだろう
と思う。

 そして、ジュンク堂でケラリーノサンドロヴィッチ「室温」再読。少年王者館/天野天街「それいゆ」読了。松尾スズキ「宗教が行く」を途中まで読んだら夕方だった。そのまま明治通りを歩いて鬼子母神へ着く。鳥居のアーチを抜けると異世界に行けるような気がする。社に向き合ってしまったので拝む。願うもの。願うものは、ひとつだけあった。自分の力の及ばないもの。それでいてとても利己的なこと。ぱん、ぱんと、その音がいつかのように響いた。
 早稲田へ行って自閉症芸術展に足を運ぶ。素晴らしかった。良かったけれど、あそこまで自閉症を強調するのはどうかと思った。ふらりと作品を観に行って展示を一通り見終わったら出展者の素性が書いてある、その程度でいいのではないかと思った。
 そしてまた、仕事を探し続ける。色々あって気がつけば夜だった。あかねに行って例のやまだまほ展の様子を見に行く。同席した人の演劇批評団体に参加することになる。楽しい。
 
山川荘で寝る。
 
まあ、色々だ。楽しい日々だ。困難も困惑も拭えないけれど、それでいいんだ。


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越谷だとか 池袋だとか

  • 2005年06月27日
 画龍点晴大ちゃんに会う。

 点描の路上絵描きだ。活動が順調そうで何よりだ。相変わらずシャブ中みたいな瞳だ。僕はコンビ二飯のような諸々を大学4年間で糧にしていた。人によっては高級な食材のみを糧にした人もいるんだろう。大ちゃんはずっと路上に座って訪れる人のもののみを点描の糧にしていた。だからこそ彼は、つながりの何たるかにつよい認識を持っているんだと思う。

 越谷は案外殺伐としていた。風俗店をパトカーと救急車が取り囲んでいた。今にも人を刺し殺しそうな危ない目をしたサラリーマンに30秒ガンをつけられた。韓国人女性のマッサージを断ったら舌打ちされた。こんなに乾いた町だったっけか。

 南雲宅に宿泊する。

 業田義家「自虐の歌」なんて、渋い漫画が置いてある。僕と同じく、選ばずに蓼食う虫である。この人は変だなあと思う。それより何より楽しかった。詩作をしようと思った。

 池袋でその日知り合った名前も知らない女に「しあわせ?」と尋ねられた。
 聞けば変質者に遭いまくったり、泥棒に入られまくったり、挙句の果てには見ず知らずの人間に通り魔的にタコ殴りにされたり、クレイジーワールド東京にいじめられているらしい。
 「あんたはしあわせ?」
 僕は黙って笑うしかできなかった。そこまでに足りないものを埋める言葉を紡いでんだ。本当にしあわせなら詩なんて書かない。けれど、ちゃんとご飯が食べられて、すやすや眠るだけでそこにはしあわせがあるとも思ったりもする。とどのつまり、幸福論を語るには未だわか過ぎるって言う話。本当にそれだけ。それだけの話。


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おうちへ

  • 2005年06月27日

明日が世界の終わりだ。

情けないことに十代の頃の僕の頭には根拠のない破滅願望が少なからずあったことを思い出してしまった。

 母に会う。足立区にある母の家は狭い団地だった。母は二年前再婚した。アイスティーを入れるその手つきとかに、現在の幸福な生活が現れていた。悲しいかな母は頭がよくない。彼女が話す話題には常になんら生産性がない。四六時中へらへらしているのが昔から嫌いだった。
テーブルの上に小さな紙切れがおいてあった。
「LOTO6をはじめたの。」
その言葉に何かいやな予感を感じた。そこに触れなければよかったと思った。
紙切れには4桁の数字が4つ書かれていて一番下には「0314」とあった。
僕は母の次に来る台詞が分かってしまったので出来ることなら耳を塞ぎたかった。母はへらへらとこう言った。
「私の誕生日と、旦那の誕生日、Yくん(再婚相手の息子さん)の誕生日、そして、龍夫の誕生日。この4つの番号で絶対大当たりね。」
 僕はもうそれを耳にして一気に滅入ってしまった。もう、新しい家庭の中に僕を巻き込んでくれるな。巻き込みたいとも思ってくれるな。僕の足首を掴まないでほしい。
 途端に全てが白けて、僕は「帰るよ。」と言ってその場所を後にした。


 父に会う。最近は酒の量が増えたのか、彼の顔は酒焼けしているように見えた。パスポートを取っておいたほうが良いに決まっている。と言い放ち、僕に写真をよこすように言った。証明写真を撮って戻ると彼は寝入っていた。毎度のことだが、彼に会うと罵倒が尽きない。再婚した新しい奥さんにも、僕にもだ。機嫌がいくら良くても、些細なことですぐに罵倒が始まる。それが昔からとてもいやだった。
 父は自己愛と自己顕示欲と自己弁護がとても強い。そして、会話のできない人間であると認識している。自分の話している内容で相手の反応を見ずにエキサイトするので、非常に迷惑である。普通にものを語っていると思ったら、その自分の言った内容に憤りを覚え、最終的にはこっちに罵声が飛び火してくるのが最悪だ。昔からのことで、毎度のことであるが、あまりに理不尽なので、慣れない。僕は今日もやっぱり貝のように口を噤んだ。


 十代の頃の僕の家庭がどのようなものだったかは、本当のところは誰にも語ったことがない。誰にも語るつもりはない。ただ断片的にでもここに記すとすれば、僕は何度も彼等を殺そうと思った、ということだ。僕が両親ともどもを殴り倒したりすることもあった。時間の作用で現在は三者三様に落ち着いたけれど、僕らはお互いに心を開けないままでいる。僕は彼らを目の当たりに笑えないでいる。別れた恋人は「きみが親からの着信を取るその態度が嫌だった。」と言った。これは誰にも分からない。誰に分かってもらうつもりもない。だから、言い訳にしちゃいけないことなんだ。ただ、時間がたくさんの澱みを浄化してくれるのを待つだけだ。
 感謝はしている。どちらが亡くなっても僕は泣くだろう。愛情も不器用なりに注いでくれているのだろうとも思う。しかし、笑えない。心が開けない。開いたら殴ってしまうから、そうなったら泥沼だ。
 過ぎてしまったものはどうしようもないし、今後の展開が幸福な方向に進むのを祈るしかない。僕の言えない言葉は日記に書けばいい。少しは澱みも晴れた気になる。今は、それでいい。それでいいんだ。


 とにもかくにも、疲れてしまった。明日が世界の終わりだなんて今は言うつもりはちんこの先ほどもないけれど、あまりに空気が湿っているので眠ろうかと思う。


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獨歩

  • 2005年06月26日

 ピアスを買おうと雨屋横丁を歩くが素敵なものは見つからなかった。
それでも、駅前で昔客演した劇団の主宰にばったり会って、「『月面喜劇』よかったよ。」などと告げられたり、親戚の兄ちゃんにばったり会って近況を報告すると「まあ、沈んだら、浮くから。」などと述べられたり、世の中は素敵な事象に満ちているようだ。

 そういえば、その昔付き合っていた人とこの道を歩いたことがある。
鳥のように鋭く大きい目がえらくかわいい女の子だった。あの時も、繋いだてのひらが離れることは想像できていなかった。

 思うに、期待するなんてのはひどく利己的な行為なのかもしれない。
 それ故に離れていってしまった人たちへのもうしわけなさを考えるとおなかはいっぱいになるけれど、ありがとうと、ごめんなさいは山のように在るけれど、どれも、告げることを許さない。だから、心にコンパスの針で刻んだ。

 鉄火丼400円の店が在って、以前、ひどくまずい鉄火丼を食べさせられたのを思い出した。新装開店したというので入ってみるが、やっぱりまずかった。米がべちゃべちゃだった。

 一人で歩くと気持ちがとても冷静になる。右半分の分、視界が広がったような気がする。晴れ間と翳りの絶妙なコントラストに気がついたり、思い出せないほど記憶の奥にあった歌のフレーズを思い返せたりしている。コンパスの針でできた傷口から赤い血がどこかの細胞に流れている。言い足りなかった言葉や言えなかった言葉や今更になって思いついた言葉がどばどば溢れている。放っておくと揮発しちゃうからなんとかしなくちゃ。なんとかしなくちゃ。何をすればいいかは分かっているつもりだ。
 
 この先も筆を執り続けることだ。
 言葉が分泌を終えないうちにね、文筆をさ、再開させんだ。(なんちゃって)

 押忍







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遊歩 遊食

  • 2005年06月24日
 職探しのかたわら、遊歩。
 学生でもなくなって、携帯電話も止められ、休職中。僕は今かなり自由度が高い。
立ち寄ったビデオ屋でSABUの「弾丸ランナー」を借りてみる。
久々に赴いた仲屋むげん堂でパンツと腕輪と指輪と首輪と口琴を買う。
東京の目が眩むような人の歩みの速さをわすれていた。忙しない。それが良さでもあり、悪さでもある。棲む以上順応しなければ。

 叙情っぽさや人間くささを排した作品を書いてみようと、「cube」という作品を思い立つ。自分は、記号的な面白さをどれだけ知っているのだろう。筆を執るだけであれば何のリスクもない。知りたければやってみることだ。

 ともあれ、気楽だ。
夜が深くなる前に眠り、朝が寝惚けている間に起きる。健康だ。いっぱい歩いて自分のリズムを見つけるんだ。


引越しをしようと思った。引越しが必要だ。
そのために働こう。で、ちょっと郊外の、夕焼けのきれいな街に暮らそう。
来年の三月までに金を溜めよう。


************************

 乾杯ということ。杯を乾かすということ。僕は虚勢を張ってしまう愚者だ。

 酒を飲みにいく。話題はひたすらに猥談。
友人は僕を酔いつぶそうと酒を絶え間なく注ぎ続ける。
「男はねえ、女に注がれたら、それを飲まなきゃ負けって思っちゃうんだよ。」
後輩二人に彼女はそう教えていた。僕も僕自身がそうであるがゆえに否定しなかった。酒が注がれる。飲む。その繰り返し。気分がよかった。何杯でも飲める気がした。そういう酒の注ぎ方をする彼女はきっと、「いい女」なんだろう。
 しかし、少し見方を変えると、つまり、けんかを売られていたわけだ。
 夜も深くなり、気持ちよく意識がまどろんできた。
 気がつくと階段でぶっ倒れている。次に気がつくとマンションの玄関でぶっ倒れている。その次に気がつくと氷水を片手にトイレに突っ伏している。意識の断絶の連鎖。男は、つうか僕はきっと、女の子に対し、酒を注がれたら飲みたくなくても飲んじゃうし、そういう不毛な格好つけをこれからしていくんだろうと思った。それはそれで結構たのしめる気もした。
 気がつくとタオルケットを羽織って雑魚寝していた。

 完敗ということ。苦虫を噛んだ苦笑い。僕はいい男までシルクロードほど距離がある。



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夢町を去る 花町で暮らす

  • 2005年06月22日
 夢の終わりは決まって寂しいものだ。
東海道線が駅をひとつ過ぎる度に背にした西方が音も立てず鮮色の粒子になっていくのを感じている。

 未だに醒めぬ愛惜しい人との最後の電話は冗談のように噛みあわなかったので、とりあえず「ブス!」と吐き出した。

「さよなら。」

 冷たく温かい、鋭く鈍い響きだ。すぐに夜に隠れてしまった。
梅雨のにおいで、その優しいふかふかのにおいも、とうとうわからなくなっ た。
 その部屋にはたいせつなものが詰まっている。愛なんて言えばあまりに滑稽だし。思いなんていうほど陳腐でもない。言うなれば、温度。絶対無二の温度。紡ぎかけの温度。呪縛のような温度。それだ。

バイト先の皆が惜しんでくれた。閉店後のカラオケルームで歌った。夕飯も朝飯もおごってもらった。豊橋の駅まで送ってくれた。

「この街はきみを受け入れたんだねえ。」

と、まぼろしが呟いたので、黙って頷いた。

 雨が上がったので夢町を去る。

「さよなら。」

何て前向きな響きだ。




********************



 朝の9時に豊橋を出て、東京に着いたのは夕方だった。
 バスから眺める風景はなんら変わりはない筈なのに、何故だかとてもさびしく映った。

 早稲田に行って、色々な芝居の稽古場に顔を出す。

 「ただいまあ。」

 S太郎君の家で起こした呼吸困難がもう噂になっているらしく、皆々は「生きててよかったねえ」と言ってくれる。疲れたので、そのまま閉館まで眠る。
 
 深夜、姉ちゃんを誘って飲みに行く。

 「愛だのは姉ちゃんよく分からないねえ。」と彼女は言うが、彼女が僕に「おごってやるよ。」と言ってくれるその気持ちが他ならぬそれであることを僕は知っている。愛知の部屋からくすねてきた大量の線香花火は昨年買ったやつだ。線香花火の束を捻って火を点ける。ゼリー状の火の球のあかい色がかわいい。弾ける。
 「小さい頃はさ、おふろ入ったあとに花火をしてたのさ。そうすると、体に火薬のにおいが付くじゃない。家に帰ってそのまんま寝ると枕にその匂いが付くわけよ。朝起きてそのにおいを嗅ぐと『あ、夏のにおいだあ』って思ってうれしくなってた。」
 どうでもいいような話だけど、姉ちゃんは(おそらく彼女の性格では、普段彼女の周りにいる人たちにはしないであろう)そんな話をずっとしてくれる。
 僕はそれを幸福だと思う。

 「気分を変えたければ、布団でも変えてみたら。」
 「なるほど。」
 
 夜明け前にドンキホーテに行く。布団は思ったより安く売っていた。ドンキホーテを二時間ほどぶらぶらして、次の給料で買いたいものをリストアップする。よく分からないけど、米と豆乳とミネラルウォーターと新しい茶碗とマグカップを買った。どうやら姉ちゃんはドンキホーテの回し者らしい。



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Tatsuo Okazaki

「いい会社」elegirlという会社を経営しています。主たる事業は広告ですが、音楽事業 elegirl labelや演劇制作など、気ままに色々やってます。プロフィール詳細はこちら。デザイナー、DJとしての活動概要はこちら


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