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ゆるく、ゆるーくありたいものです

合同会社elegirl代表、岡崎龍夫です。
大学生だった2004年から20年以上つけている思索の記録です。
未来の自分に手紙を書くつもりで書き溜めているため、それほど一般性はありません。

2021年01月

ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話」という本を読んでいる。市場の本質は「農耕によって発生した余剰」という視点から経済を紐解いている。
市場の本質は「農耕によって発生した余剰である」という視点から経済を紐解いていて面白い。タイトルにある通りとんでもなくわかりやすい。なぜイギリスはオーストラリアを侵略したのか?(オーストラリアに大国ができてユーラシア大陸を侵略することはなぜなかったのか?)という問いに対する回答が「大陸の位置と形」という話が目からウロコだった。




ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」でも農耕を創出したことにより人々は穀物の奴隷となったという記述がある。農耕によって人類は発展し地球を支配したように見えるが、その人類を支配して繁栄した種は実は小麦だという。

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福
ユヴァル・ノア・ハラリ
河出書房新社
2016-09-16



つまるところ人間の文化は飢えとの戦いだ。
当時より社会は複雑化して経済的な飢えは多少解消されたのかもしれない。
けれど処理する情報量の増大で欲求も増大した結果、精神的な飢餓がさまざまな形で表出した、というのは自分の肌感覚だ。

人生を幸福に生きるカギは経済と精神のコントロールだと言われる。
足るを知ることで膨張する欲望を制御しなくてはいけないと。それは真だと思う。
けれど、足るを知る尊さの対局に、足らないことの価値もあって、飢えは確かに侵略を生んだが、発展も生んだ。
必要なのはつまり「正しく飢える」ということなのだと思う。
それはなんとなく自分にとって今年のキーワードになる予感がある。

正しく飢え、飢えることでまた成長したい。

開発品質の一つの要素に「拡張性」というのがあって、要するに機能追加や設計変更に柔軟に対応できるようなものを構築するということなのだけど、この点に非常に職人性が顕れる。

「拡張性」は生活においてはさらに重要で、自営業という生活スタイルが羨ましがられる点は主にそこだ。出社も出勤時間もないなんてよく言われるが、同時に退社も退勤時間もない点も特徴だ。何が言いたいかというとそんなに羨ましいものではない。体質との相性による。
それでも体質に合わせて生活をカスタマイズさせていくことは大事で、部屋のレイアウトや食事の調整と同じように金と時間の使い道は調整し続ける必要がある。一生。

言葉の意味も時間と共に微妙にカスタムされていく。
顕著な例は「時間」。中年になっていくにつれて有限な資源というニュアンスが強まった。そんな見え方の変化も最近は面白い。
「時代は変化する」という。生活も変化する。認識も変化する。
今日の正解が明日の不正解なんてこともよくある。

結婚して3年目が終わり、4年目の始まり。
1年目は浮足立って、挙式などをやった。
2年目はちょっと地に足ついて、新婚旅行とこれからの設計などを話し始めた。
3年目はコロナ禍もあって、人生設計と生活設計を話し合ってぶつかることもたびたび。
今年はレストランも行けないので、ささやかにナポレオンパイ買って食べた。

人間関係はうまくいかないのが前提だと思う。
他人だろうが家族だろうが難易度は高い。
いつか子供ができたら教えてやりたい。

「1年生になったら友達100人できるかな」
「友達100人作った101人のコミュニティに乗っかってくる煩わしさはマジできつい」
「100人で食べたいな、富士山の上でおにぎりを」
「もう計画段階で1人除外されてる」
「パックン パックン パックンと」
「1人が除外されたことを、50人は喜び、30人は後ろめたさを覚え、20人は憤りを抱えたまま頂上に来ている。パックンパックン食べてるお前はその50人側なんだろう。マイノリティの背負ったものを無自覚に蔑ろにするマジョリティだ。残酷だな」
「ウエーン」
「泣くな。想像しろ。想像力豊かに育って欲しいから俺はお前に『想像力豊』って名前をつけた。がんばれ!想像力豊!」
「パパのクソヤロー」

そんな風に、他人だろうが家族だろうがぶつかる。
人を扱うことが難しいから、言語と通信はここまで発展したんじゃないかと思う。

だから、ナポレオンパイ食べて美味しいと思ったときに隣で「美味しい」と口にするとか、そういうシンプルな一致の積み重ねは、それなりに意味を持っているのだと思う。
岡崎想像力豊にもそういうことを伝えたい。

写真は帰宅を待っててくれたアザラシ。
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年末に友人数名と忘年会を開催した。
行きたかった店はあったのだけど感染者数の増加を危惧して急遽リモート開催に変更した。
参加者の中にいた友人のSは舞台俳優で、コロナの影響で仕事もなくなって大変だと言っていた。そんな話をしているといつの間にかSがベロンベロンになっていることに気づく。
あれ?こいつ人の話聞いてないのか?
というくらいに支離滅裂に画面の向こうで暴れ叫んでる。
面白かったのでそのまま画面の中で暴れる動画を録画した。

その2、3日後に参加者の一人であるTさんから連絡が来た。
「あれからSと連絡がつかない」
そういえば、こちらもSに「昨日だいぶ酔ってたけど大丈夫?」という連絡を入れたきりになっていた。そのLINEは既読になっていない。

「2、3日LINE開かないことってあるかな?」
「うーん...忙しいとか」
「求職中だったら携帯見る頻度は高いのでは?」
「なんか怖いな」
「SNSもその日以来更新してない」

そんなやりとりを経て、最悪の想像がよぎる。
・忘年会のあと、急性アル中かなんかで倒れ孤独死
・忘年会のあと、衝動的に死にたくなって自死
なぜそんな想像をしたかというと、それくらいベロンベロンだったからだ。録画した動画を見返すと笑えなくなってくる。まじかよ。

Sは下北に住んでいるというので下北在住で繋がりのある人なら家を知っていたりするかもしれない。あるいは同じ劇団だった人なら...という一縷の望みを辿って生存確認の方法を探る。
見つからない。見つからないが続くと大事にしていくしかない。
Sが死んでるとなると、会を企画したことも後ろめたく感じる。

数名の友人に声をかけて捜索したが、万事休す。
やることはやった。あとは声をかけた友人に託すしかない。

そう思っているとTさんから連絡が来た。
「Sから連絡あった!生きてた」
程なくしてSからも連絡があった。

Sは、会の最中に酔っ払ってそのまま意識を失うように寝たそうだ。
翌日の午後に目を覚ますと体調がめちゃくちゃ悪く、そのまま病床に伏した。
体調が戻ってきたのでその翌日に携帯を見ると携帯が壊れているようで電話回線にもネットにも繋がらなくなっていた。携帯会社に修理を依頼し、戻ってきたら鬼のように心配の連絡が来ていた。

体調不良と携帯故障が同時に起こったということだった。
安心とむかつきの両方の感情で泥酔中のSの動画を送りつけると本人も引いていた。
そんなことがあった。




昨日は株式会社スペースノイドカンパニーのリモート新年会に参加した。



代表の栄之進はここ数年決まって「こいつは、WEBとクズを担当している岡崎です。片目が見えていません」と人に紹介する。
ここまで端的に自分を言い表している紹介文もないからさすがだ。数学の強い人が510 を 2、3、5、17に一瞬で素因数分解するような切れ味を感じる。

 部屋とYシャツと私。WEBとクズと片目。
 煙か土か食い物。WEBかクズか片目。

何の話だ。
前向きな雰囲気のある、いい会だった。




クラブ行ってないし居酒屋行ってない。
パーティの灯が今灯るべきとは思わない。
話すべきことは多々ある。積もる話やこれからのこと。
生活のことや社会のこと。祝うべきことと嘆くべきこと。
そう遠くないいつかまた集まってわいわいやろう。
音楽と酒と食事を用意してずっと話そう。

だから今は粛々と生き延びていてほしいと思う。

大晦日と元旦の差はあくまでも1日なので、これで「心機一転!」とかできる奴は普段からそういうコントロールができてると思う。むしろ「新年だから心機一転!」という人はなかなかギアチェンジができない性分のような気がしている。

心機一転はするべき時にする。つまり12月からのギアは変えてない。

大晦日は松戸の本土寺まで参拝に行った。

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参拝客は流石に少なかった。帰宅して4時くらいに就寝。
元日の昼に散歩に行ったのは陽廣院。キャッシュレス賽銭は、賽銭の数%が還元されるから、お願い突き返された感覚になる。

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1月2日。遠くまで散歩。柏の奥にある法林寺という寺を抜けて廣岡八幡宮という神社へ。
スタジアムの麓にこんな歴史のあるエリアがあるのは知らなかった。

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そして、増尾城の城址も寄ってみる。
殺風景すぎて何も撮っていない。

1月3日。今日の散歩は根木内城址まで。

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殺風景だけど鴨はいた。

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殺風景を3日も散歩してしまったけれど、思い返すと結構楽しんでいたと思うのはどの場所も未知だったからだ。人生において未知への興味というのは最高のスパイスになりうる気がする。そういう意味ではこんな時勢であっても未来には希望しかない。

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