electrongirl

ゆるく、ゆるーくありたいものです

合同会社elegirl代表、岡崎龍夫です。
大学生だった2004年から20年以上つけている思索の記録です。
未来の自分に手紙を書くつもりで書き溜めているため、それほど一般性はありません。

2024年05月

何を目的に生きても
平等に宝物のような日を
得る機会がありますように
死にゆくときにその日の美しさを
噛み締められますように
患って枯れていく肉体を
慈しめますように
かつての深紅のあるいは紺碧の
情熱を抱きしめられますように

伝わらないことばを
うつろうおもいを
定まらないかんがえを
おぼつかないあしどりを
こねくりまわしていたらまた夜が明ける

ぶつかってはなれて
のろって拒絶して
批判して批判され
わずらわしさのうちに
疲弊していたらまた夜が来る

どこにも
なにもないことはわかっている
ただそこに
大量の白紙が置かれている
深紅のあるいは紺碧の途轍が
何を描くかはわからない
ただそこに
大量の白紙が積まれている

辟易もする
ちょっと笑える

古い世代の名前人気ランキングが面白い。

明治安田生命|生まれ年別名前ベスト

例えば、大正時代は男性女性ともに「正」の字を名前に使うのが圧倒的に人気で、昭和時代前半は「昭」や「和」の字が多い。天皇=神だった時代なので当然だったろうし、識字率の問題で元号以外の名前書けないという人も多くいたのだろう。

顕著なのは1942年から45年の男子の名前は毎年「勝」がトップだが、46年にいきなりランクから外れる。敗戦の落胆はこんなところにも表れる。

そんな風に名前には世相が反映される。

1948年から男子では「勇」を蹴落として「博」という名前が人気になるが、勇ましさより知識が尊ばれ始めたのだろう。女子においては1959年に急に「智子」がランキングに浮上する。それまでも「美智子」という名前は一定の人気を持っていたが、それを押し除けての躍進だ。美しさが前提だった女性の知性がその前提を取り払ったのは女性の社会進出が徐々に進み始めたからだろうか。この「智子」に顕れる女子に求めた知性は1960年代後半以降の社会全体の高学歴化を支えたはずだ。

また、1950年代から高度経済成長期になると男子で「誠」「剛」「健一」「徹」が人気になる。これは経済活動における勤勉さと実直さ、そしてタフネスの表出であると読み解ける。
「修」や「学」の人気にはやはり勤勉さが伺える。
その頃の女子には「由美子」「由美」「真由美」の「由」に顕れるのびのびとした闊達さ、「陽子」「明美」に顕れる朗らかさ、「洋子」や「裕子」に顕れる寛容さ、あるいは「裕子」と「恵子」には豊かさといった雰囲気が求められこういった女性像が働く男性を支えたのだと推察した。

さて、1983年からしばらく女子では「愛」が人気になる。冷戦が鎮火をはじめ"ラブアンドピース"が広がったのだとしたら、これは戦時中の「勝」人気の反動ともとれる。

そんな風にこのデータを見ていくとキリがない。

現在、命名の傾向はばらついている。ただ、これはこれでイデオロギーの喪失という一つの傾向もだと思う。しかしよく見ると男子の名に「碧」「蒼」女子に「葵」「陽葵」など、青さに何かを求めているようだ。若々しさだったり冷静だったりするのだろう。

最後に、大正時代の女子の名に「千代」「久」など永遠を連想する名前が多いが、今の世がずっと続いて欲しいという表れだとしたら、いい時代だったのかもな、とぼんやり思った。

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