旅も半ばを過ぎて、夏も終わりを向かえ、冬の支度と締めくくり方に気を回すようになった。
今年の頭に思いついた無計画な計画だったが、それにしては順調なほうにも思う。
東京にいたときにすでに人並みの人生経験はあったとおもう。
東京にもまれている中で覗いたいろいろな世界のおかげで、言葉の不自由なこちらでも話題は豊富なほうだと思う。そしてなにより俺には真心とユーモアもある。

もっと英語が使えたらと、思うとまったく末恐ろしい限りだぜ!
恐ろしくなんかない。一生、どこまでいっても若輩者だろうし、その気持ちを忘れたくもない。
人生を見つめなおす自分探しの旅の途中で、自分が未だ何者でもないことを知った。今後もそうである気がする。それでも、神出鬼没の正体不明、穏和と戯言の使者、やさしいおばけ、
そんな道をゆくのもかっこわるい事じゃないと思いたい。

次の一歩は何をしようか、出たとこ勝負でいい。賽の目に任せるくらい適当でいいはずなんだ実際。
ひとつひとつのなりゆきを大切に受け止めろ、と、言い聞かせる。
びびんな、逸るな、結果を求めるな、牛歩の先にでかい獲得があると、言い聞かせる。

それでもどの道を行くにせよ誠実さにはなるべく欠かぬ様に
誠実にむきあえなかったものの数だけ苦しむし、誠実にむきあえた物の数だけいいことがある。
因果応報、本当にそういう風にできている。
けれどきっと誠実に向き合えるかどうかには運も縁もあって、もしそうできたなら幸運。
そういうめぐり合わせに感謝をしたいなあ、って。そんな風に思えた。


今日もまた日は落ちて、アリスはワンダーランドへ、街は宵闇の中へ
浮世はいつだって華々しいケイオスにまみれてる
夏の風景を夏の記憶を秋雨が北から塗りつぶす
雨上がりの匂いをパフュームが塗りつぶす
夜の緞帳の漆黒には、何万もの色彩が眠っている
夜が揮発して街の空が白む頃、華々しいケイオスが空虚な瓦礫に変わる頃
一切をやさしさの産物と思えたら
アリスはそこに居ていいことを識る
唐突に眠気がやってくる