7月8月は何かと忙しかったのだけど、喉元を過ぎた夏の暑さと一緒に忘れた。夏がいつの間にか終わってしまったこの時期は若干もの悲しい。暮れる年の準備をしないとな、と思っているこの頃。いつものように衝動的に掃除をしたくなって、いつもの処分業社を呼び、大量にものを捨てた。
 少し風通しの良くなった部屋で、過去のことや未来のことを考えると、結局いろいろな人のあたたかさを思い出してそのせいで泣けてくる。今年もきっと、様々な人のぬくもりに触れながら楽しく終わっていくような気がする。

 いつ頃のみこんだものかは知らないが、空洞の球体みたいなものが喉と腹の間にあって、誰しもと同じように何を以って埋めるかを探す。家族か、恋人か、友人と呼べる人だろうか、そばにいてくれる誰人が居さえすれば空洞はその存在感だけで埋まると、そう思っていた頃もあった。そうでもないんだなと気付くまでに何度もの恋や友人を経た。ふるいにかけられてそばにいてくれる人ですら、空洞を埋めはしないらしい。男だからなのか。大人だからなのか。とにかく最近はそんな球体が誰かの力でなく、自ずとふくらみをもってきているような、そんな気分はある。



 8月印象的だったのはオリンピックのロゴデザイン盗用の件が、連日炎上していたことだ。
 パクリがあったかどうかの点についてよりも、よくもまあここまでみんな血眼に投石するなってことが正直怖かった。パクリがあったかどうかよりも「じゃあロゴどうすんの?」ってとこが一番気にする点だと思うし。一つ起こった問題から2つ目3つ目の過去の済んだ問題を探して叩いて埃をだそうって動きのどこが建設的なんだろう。いまにはじまったことじゃないんだけど。
 それを一例として、やはりインターネットの世界は「一般論を代表してる」みたいな奴が「正論っぽいこと」を聖剣のごとく振りかざして勇者ごっこだ。いやいや暇な餓鬼だろ。
 享楽と罵声は善意の名の下に飛び交っている。
 自分の生活の前では本当はどれも蝿の羽音みたいなものだと、そう言い聞かせて飲まれないようにしがみついている。



最近関わったこと。

ケシュハモニウム <タヒノトシーケンスvol.1>「透明な動物と夜通し歩き回る」(詳細)
にelegirl labelの楽曲をたくさん提供させていただいた。

noine - nuke reset set
whizz kid - summer bubbles
gnyonpix - reikyakusui
guillotine hairshaver -
ryu gu jyo

pascal - Neocrest headphones

みなみさんとはもう10年くらいのつきあいになるし、関係性は形容しづらいんだけど、何かとまた遊びたい。

演出家しか出ない劇団『目に見る星は過去の星つかの間の未来を見るために僕らはみんな目を瞑るのだ』(詳細)
チラシ描いた縁でいろいろな出会いがあった。

 この年で、こんなの観たことない!と言える作品に出会えるのは幸せなことだし、それでいてお手本のように、建設的な過程が詰まっているような作品だと思った。



 夏が終わった日に、早朝の渋谷を歩いて、雨上がりの朝はちょうどいい気温で春が来たときとに似ていた。それだけですべてがうまくいくような予感を味わえたり、小銭を落としただけで絶望したり。
 喉の球体はまた何かに潤ったり乾いたりする。
 獲得とか喪失とかって、そんなんじゃないかって思う。

 ひそやかに年が暮れはじめるしあわせを、ひそやかに噛み締めている。