年末に友人数名と忘年会を開催した。
行きたかった店はあったのだけど感染者数の増加を危惧して急遽リモート開催に変更した。
参加者の中にいた友人のSは舞台俳優で、コロナの影響で仕事もなくなって大変だと言っていた。そんな話をしているといつの間にかSがベロンベロンになっていることに気づく。
あれ?こいつ人の話聞いてないのか?
というくらいに支離滅裂に画面の向こうで暴れ叫んでる。
面白かったのでそのまま画面の中で暴れる動画を録画した。

その2、3日後に参加者の一人であるTさんから連絡が来た。
「あれからSと連絡がつかない」
そういえば、こちらもSに「昨日だいぶ酔ってたけど大丈夫?」という連絡を入れたきりになっていた。そのLINEは既読になっていない。

「2、3日LINE開かないことってあるかな?」
「うーん...忙しいとか」
「求職中だったら携帯見る頻度は高いのでは?」
「なんか怖いな」
「SNSもその日以来更新してない」

そんなやりとりを経て、最悪の想像がよぎる。
・忘年会のあと、急性アル中かなんかで倒れ孤独死
・忘年会のあと、衝動的に死にたくなって自死
なぜそんな想像をしたかというと、それくらいベロンベロンだったからだ。録画した動画を見返すと笑えなくなってくる。まじかよ。

Sは下北に住んでいるというので下北在住で繋がりのある人なら家を知っていたりするかもしれない。あるいは同じ劇団だった人なら...という一縷の望みを辿って生存確認の方法を探る。
見つからない。見つからないが続くと大事にしていくしかない。
Sが死んでるとなると、会を企画したことも後ろめたく感じる。

数名の友人に声をかけて捜索したが、万事休す。
やることはやった。あとは声をかけた友人に託すしかない。

そう思っているとTさんから連絡が来た。
「Sから連絡あった!生きてた」
程なくしてSからも連絡があった。

Sは、会の最中に酔っ払ってそのまま意識を失うように寝たそうだ。
翌日の午後に目を覚ますと体調がめちゃくちゃ悪く、そのまま病床に伏した。
体調が戻ってきたのでその翌日に携帯を見ると携帯が壊れているようで電話回線にもネットにも繋がらなくなっていた。携帯会社に修理を依頼し、戻ってきたら鬼のように心配の連絡が来ていた。

体調不良と携帯故障が同時に起こったということだった。
安心とむかつきの両方の感情で泥酔中のSの動画を送りつけると本人も引いていた。
そんなことがあった。




昨日は株式会社スペースノイドカンパニーのリモート新年会に参加した。



代表の栄之進はここ数年決まって「こいつは、WEBとクズを担当している岡崎です。片目が見えていません」と人に紹介する。
ここまで端的に自分を言い表している紹介文もないからさすがだ。数学の強い人が510 を 2、3、5、17に一瞬で素因数分解するような切れ味を感じる。

 部屋とYシャツと私。WEBとクズと片目。
 煙か土か食い物。WEBかクズか片目。

何の話だ。
前向きな雰囲気のある、いい会だった。




クラブ行ってないし居酒屋行ってない。
パーティの灯が今灯るべきとは思わない。
話すべきことは多々ある。積もる話やこれからのこと。
生活のことや社会のこと。祝うべきことと嘆くべきこと。
そう遠くないいつかまた集まってわいわいやろう。
音楽と酒と食事を用意してずっと話そう。

だから今は粛々と生き延びていてほしいと思う。