electrongirl

ゆるく、ゆるーくありたいものです

合同会社elegirl代表、岡崎龍夫です。
大学生だった2004年から20年以上つけている思索の記録です。
未来の自分に手紙を書くつもりで書き溜めているため、それほど一般性はありません。

カテゴリ: ベルリン生活記録

 ドイツの夏をこじんまりと満喫している。

 東京の生活に比べたら非常にのんびりしている。そんな中でもこころには絶えず波紋が起こるし、波紋は流れをつくる。東京に帰って生活するイメージが今は本当にない。とはいえ、ドイツでの生活の不自由はもちろんある。多くのひとがその間で悩んだり頑張ったりしている。
 ベルリンに着いてから考えていること。自分の思う人生の形や欲求の矛先のこと。
 毎日、新しい岐路に立たされていることを思い出している。

 どうあれ、どういうディレlクションであれ腹をくくらなくちゃいけない。

 ジェリー藤尾のあの歌が、かつては逃避のように聞こえていたけれど、最近ではちがうふうに聞こえてくる。
 遊歩を続けたら冒険になってた。そんな風ではいけないだろうか。

 アレキサンダープラッツで買い物をしている時にふと、こころはまるで水風船のようだな、ということを考えた。
 その水はいろいろな色彩が混濁していて、時にきれいで時にきたなく見えるような、そういうしろもので、満ちて膨らんだり、揮発して凋んだりを、呼吸のたびに繰り返しているのだろう。

 ベルリンは居心地がいい。ここから、参院選のあとでは、去年いた時よりも日本の病理が視える。そもそも濁りやすい質のこころが、純水を保つのに、その土壌では難しいんじゃないかとか、そんなことも考えている。
 ベルリンにいてもやはり、扱いの難しいものは厄介で、濁らせないように、破裂させないように保つのは苦労だ。だって呼吸のたびに実に多くの影響を受けるし。天気が変わっただけで一気に色づくこともある。呼吸のたびに水面に起こる波紋に、笑ったり泣いたりしながら生きていくなかで、その数が煩わしくなることもある。
 収縮を繰り返す水風船の中で、騒々しく揺れ続ける水面の上で、ひょっこりと枯枝のように突き出た脊椎が、華奢だ。実に心細い骸骨だ。

 アレキサンダープラッツで買ったエスプレッソマシンでコーヒーを淹れながら、飲みながら、水風船の中身にカフェインを混ぜながら、先日死んだ実家の猫のことを悼んでいる。眠気を誘う斜陽の中で、己の凡庸を呪ったりもする。好きな音楽を聴いてみると、眠れもしないまま日が傾いていく。

いつのまに
遠くにきたものだ
いま立つ位置を否定するように

歩みをすすめ 歩をすすめ
目が覚めてみれば
異国の窓 異国の陽の光 異国のがきのわらう声
花町は夢となりました
夢町は思いでとなりました
思いで横丁のまぼろしスナックで
飲んでたお酒も揮発しました

好きなものは多すぎて
嫌いなものにも妥協して
がらくたと、たからものの区別はまたむずかしく
棄てきれない
そんな部屋から こんな場所へ

夏のある晩に寝つけずにいる
真綿と綿埃との区別もまたむずかしく
つつみきれない
そんな夜に こんな部屋から
うたう歌があります
かける曲があります

花街や夢町を思えば
夜はまた明けていくのです
異国の花が開いていく

まず、近況報告ですが、ベルリンに到着しています。
あんまり、かえったぜーなんて報告やパーティはしていないながら、なんとなく感覚を取り戻しつつ、新しい生活の準備をしています。

いろんな人に会いたくはある。

日本でもベルリンでもいろんな人に支えられている。
やるべきことは多いけど何処かのタイミングであえたらうれしい。



嘘つき つぎはぎ ごまかしで
どっか遠くへ いきたいな
雨降り 泥はね 長靴で
傘はもう いらないな

太った ダイエット リバウンド
それはもう 無駄だからさ
香港 スカンジナビアなど
何処そこへと 行けばいいさ

とりあえずフルーツかじりなよ
飛び出した汁は甘いのよ
雨はもうずっと続いてる
皮付きのフルーツ気にしてよ

雨の降る 夕方を なぞれば さっきまでと 何かしら ちがう

とりあえずフルーツかじりなよ
飛び出した汁は甘いのよ
彼はもうずっときてないよ
嘘つきのブルース聴いてくれよ

サラダにレタスがないのとか
洗濯物が乾かないとか
連絡先が分からない
そんなこと知ったことじゃないぜ

とりあえずフルーツ
かじられたフルーツ
嘘つきはブルース



もらん「生活青果」


[ele021] gnyonpix - Everyday people リリースしました。

Everyday people1



おなじみぐにょんさんのシンセポップ新作です。
今回はだいぶピースフルな作品に仕上がっています。ちなみにトラック3はあの音楽です、分かる人は上がるんじゃないでしょうか。掲題の「Everyday people」は「一般人」とか「凡人」いう意味ですが、日本語よりも愛着のあるニュアンスを感じる。「一般」なんて概念がそもそも好きではないのでそう感じるのかもしれない。
時代が時代ならぐにょんさんの音楽でファミコンつくってほしいです。本人のツイッターはデストロイなこと言い続けてる人ですが、作品は毎度こういうあたたかみのあるものが出てくる。
ラブリー&デストロイな素敵パーソンです。
是非一聴してみてください。



そんなこんなで、夜が明けたらもう旅立ち。
飛行機の中で睡眠をとるために寝ないでいこうと思っている。
同じ場所に行くにせよ、どんな旅になるのかは全くわかんないし、予定や想像をぶっ壊す出来事や出会いは日常にあふれている。国外はなお。そんな部分に惹かれているんだと思う。

ここ数ヶ月を東京で過ごして、やっぱりこの街むかつくんだけど、その感情は愛着があるからゆえなんだろうとも思えてきた。以前、ドイツで「I dont like Tokyo」と言って、東京行ってみたいという方々のテンションを下げていたのだけど、今回はそんなことはしまい。東京は好きだ。ただただ、在り方が難しい。
そんな在り方が難しい街に、愛おしい人たちがたくさん住んでいて、そんな在り方が難しい国に、もっとたくさん住んでいる。

そういう、日本語でも表現しがたい複雑な感情を、伝える言葉はあるだろうか。
言葉じゃなければ何かで伝わるだろうか。
多分わかんないから東京の音楽も聴き続けるんだろうけどまあ、とりあえずまたいろいろ探しにいきます。
ベルリンにも愛おしい人たちがいて、いつか大陸がめっちゃ動いて近くになればいいのに。

いってきます。そいじゃね。



2時間ほど前に成田に着きました。
ジェットラグにやられています。

当初12/1の飛行機で帰る予定でしたが

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まさかの搭乗できず。2日渡航が延期になりました。
チケットの再手配についても色々あったんだけど割愛。
とにかくお世話やご心配をかけた皆さん、ありがとうございました。

12/3正午、空港でチェックインの際に出国審査でひっかかりました。
以前パスポートの盗難に遭って、数日後に大使館から帰ってきたという件があったのですが
出国監察官が「このパスポート盗難届が出てる」と言い出した時はまじでびっくりしました。
うっそ!大使館は特に手続きしなくていいって言ってたぜ!
っていうか、警察から大使館に届いたんだろ!
別室に連行されフライトの5分前までなんかいろいろ訊かれました。
勘弁してくれよ!

ともあれ無事にロングフライトを終え、東京に帰ってこれました。
この滞在の間お世話になった皆さんにはただただ感謝です。
今後ともよろしくね。

半年間のドイツへの冒険が終わって、次にすべきはまた新しい冒険。
気合入れなおして立ち向かおうじゃねーの。

とりあえず今日はゆっくり休みます。
ここ半年の総括的なものはまたあらためて述べるとして。

See you again Berlin
みなさん本当お世話になりました。

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 帰宅途中、明日の予定を考えてみた。やるべきことはいっぱいだ。帰国後もやることは多い。まあひとつひとつやってくしかない。そんなことを考えていると、ふと、辺りが静まり返っていることに気がつく。ひと気はない。来たばかりの六月の頃は、ここの川沿いには夜でも人が多くいて、芝生に腰掛けてビールを飲んでいたはずだ。あーそっか、冬なんだな、と思った。

 ドイツに行くのを決めたのは今年の一月だったから、一年前の今頃、十一月の終わりの頃は自転車でハロワに通い、就職活動にいそしむ退屈な日々だった。毎晩酒を混ぜては悪酔いしていた。部屋の風通しの悪さに具合を悪くした。煙草をやめたりいろいろな試行錯誤をしてみたのだけど、何をやってみても行き先が見えなかった。ぶっちゃけ涙が出た日もあった。
 深夜に聖跡桜ヶ丘の駅前の車道を歩いていたら、今後、なにをやっていこうにも人生を楽しめないような気がした。何をネガティブになってんだ俺はと、ネガティブな考えはいくら振り払おうとしても、つきまとってくる。もしかしたら、悪霊にとりつかれていたのかもしれない。
 静かな夜だった。夜の風呂敷には何ヘクタールかの面積があるとして、その向こう側には朝の風呂敷が広がっていて、その向こう側に、昼、夕、そしてまた夜と、たくさんの風呂敷がこの向こう側に連なっている。その風呂敷のどれもが汚れてる。永遠ともいえるような茫漠な時間がただただ虚しく感じられた。ここではない何処かに行きたい。何処かに行きたいと祈る気持ちだった。しばらく外にいたら寒くて少し凍えて、あーそっか冬なんだな、と思った。

 今日の帰り道は同じくらい静かで、足音がよく響いた。ここに居たい。ここにもっと居たいのにな、って思えた。
 目の前には一年前と同じく茫漠な時間が広がっていたが、それは本当にカラフルなものに思えた。俺の今後の前途多難はきっと素敵な冒険譚だと思った。さて、こっから先はまた冒険だ、立ち向かう勇気はあるか?と右眼の眼窩で誰かが問う。「いけるっしょ」「いけるいける」「問題ねえよ」「余裕だべ」「胸熱」細胞のそこいらが言ってる。ネラーが一人居る。やるべきことはいっぱいだ。なんていうか、にやにやしてしまう。

* * *

 先週末、帰国最後に誘宵やりましたです。本当にいろいろな発見があったし、インスピレーションを得た。
なにより盛況だったのがうれしい。ありがとう。ベルリンで俺と縁のあったみんな、まじでありがとう。

またあそぼう。

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photo by Non matsumoto

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photo by Kamil Frankowicz

音楽のレーベルを運営している。elegirl labelという。
全然毛色はちがうけどDJもやっている。やさしいおばけという。

ベルリンに来て改めて音楽いいなってことを再確認している。
先日、シャ乱Qの「いいわけ」を聞いて歌詞のほとんどをおぼえていた自分に驚いた。(タイトルは失念していた)
聞きながら、なんていうか、ぶちあがった。



アコースティックな音は感動できる。デジタルな音だって感動できる。
踊れようが眠くなろうが感動できる。整然とした音の配列の美しさもあれば、たたきつけた様な騒音雑音の羅列の中にも美しさはある。トラディッショナルな音の楽しさもあれば、商業的な音楽の楽しさだってばかにできたものじゃない。節操がないと言われようが、せめて感受性に関してはフィルターをかけずにいたい。

音楽っていいなーってはじめたレーベルを転がしながら辿り着いたのはやっぱり「音楽っていいなー」だった。
いろいろな国の音楽を聴きながらそれをつくっている人の内面とそいつが暮らしている町のことを思う。
それがほんとに楽しい。続けて行こうじゃないの。

* * *

季節はとうに冬で
その移ろいはきっと
ドーピングきめたベンジョンソンよりはやい
京王線の特急よりはやい
速水って名前の奴よりはやい
早杉って名前の奴よりはやい
そんな名前の知り合いはいない

此処にいたい気持ちも
次の季節に焦がれる気持ちも
どちらもが私なのです
私とは、あいまいな存在なのです
「ウグイス」とか「ニイガタ」の漢字表記よりも
あいまいでおぼろげな私は
遠い異国でおばけを名乗り
歩みの赴く先を時折見失っては
あいもかわらず
さまよっているのですが
星も花も
お酒も音楽も
あるので
なにも心配は要らないのです
へらへらしていられるのです

季節はとうに冬で
その移ろいはきっと
ものすごくはやい
そのものすごさに
ほえーとかふがーとか驚愕しているのが
その時間が
愛おしいのです

ベルリン滞在期間残り15日。

最近は、いろいろある。
いろいろあるのはまあずっとなんだけど、とにもかくにも土産話は多く持ち帰れるんじゃないかと思う。

帰国後はすぐに何処かの温泉地でできれば春までリゾートバイトする予定。
んで、来年6月にまたドイツ行きます。なんて話をすれば鬼が笑うかもしれない。

旅を経て決めたこともいろいろある。
毎日を楽しめてないやつなんて、雑魚だ。
せめてずっとへらへらして生きようと、その点については腹を括ろうとおもった。

* * *

おしらせ

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2012年12月8日
20:00〜5:00

DJ /
Nagumo
highnecken
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加藤健太郎
やさしいおばけ
(more)

LIVE /
chibayu

ENTRANCE FREE

眠れない夜に幽体離脱してブログを書いている。

最近ではびっくりするくらいにベルリンの昼が短くなって午後5時にはけっこう黄昏れてる。
夏の頃のバイタリティが嘘のようになんだか寂しい街並になった気もする。

それでも、たのしいことは探せば転がっていて、昨日はエレクトロスイングのイベントに行った。
生ライブで見るエレクトロスイング(Alice Francis)はんぱない楽しさがあった。

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滞在期間はのこり30日。もっともっと楽しもう、全身全霊を使って。

* * *

 現象の一切は幽霊のように透き通る。花の色彩も瞬く間に揮発する。
 善かれ悪しかれ、日々は平等に褪せゆく。そこに留まれば濁るのみ。
 きみやきみやきみたちと同じ速さで、同じ方向に揺蕩うことができたらと、そんな傲慢な願いの行く末は神のみぞ知ること。行先を揺さぶるように季節はまた変わって、俺はまた、きみやきみやきみたちにとっての、やさしいおばけに為るのだろう。それは少し寂しいけれど、それが良いこと。この時間を愛おしいものにする法則。
 全ての乾杯は啓示による。グラスとグラスの間に発生する電子は、きっとどれもが美しい炸裂だ。何百回だって、何千回だってしよう。たとえ忘れたってかまわない。きみやきみやきみたちと、幾つもの言葉を弄んで、共有を繰り返す。それを不毛な作業と捉える奴には、おばけの才能はまるでないな。
 変わりゆくことのすばらしさを、揮発することの尊さを、いなくなることの愛おしさを、識ってる。
 まあ難しいことは後回しにして、乾杯して乾杯して乾杯しよう。朝には忘れるおばけの戯言を一晩中語り尽くす、そんな日々を。

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